2008年にGTアカデミーが始まって以来、多くのファンが待ち望んでいたアジア大会。ここでも先行した多くの大会同様、何十万人ものプレイヤーがチャンピオンの座を目指し、日産自動車とのプロフェッショナルドライバー契約を勝ち取るべく激しい争いを演じました。開催国のうち、日本、フィリピン、インドネシアにとっては選考自体が初めての経験。タイとインドにとっては昨年のインターナショナル大会からテリトリーを移しての実施となります。
新米レーシングドライバーがここへたどり着くには2つのルートがありました。ひとつはグランツーリスモのオンライン予選。もうひとつは各地で行われたリアルイベントです。この2つのルートで選ばれた総勢100人が国別決勝に進みました。国別決勝はチェンナイ(インド)、東京(日本)、バンコク(タイ)、マニラ(フィリピン)、セントゥル(インドネシア・ボゴール郊外)という各都市で開催されました。
この熾烈な国別決勝を勝ち抜いた幸運な6名ずつが、長旅を経てイギリスのシルバーストンへとたどり着きました。彼等は初めに、それぞれの国を代表する尊敬すべきメンターと出会います。彼等は6日間のキャンプを通じて技術的あるいは精神的なアドバイスを行うのです。カレン・チャンドック(インド)、ハミッシュ・ダウドウィリー(インドネシア)、千代勝正(日本)、マーロン・ストッキンガー(フィリピン)、そしてサンディ・ストゥヴィク(タイ)という5名がそのメンターです。
Head Judge: Rob Barff | |||
Philippines | Japan | ||
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Judge: Marlon Stockinger | Judge: Katsumasa Chiyo | ||
Luis Cachero | Raphael Miru Lesaguis | Lee Jung Woo | Takuya Takahashi |
Jose Gerard Policarpio | Joel Agojo | Kohei Hatakeyama | Kojiro Iwasaki |
Terrence Lallave | Daryl Brady | Yu Takahashi | Yuya Nozaki |
India | Thailand | ||
Judge: Karun Chandhok | |||
Abishek Dwaraknath | Dhruv Dayal | Pianpat Ronruangrit | Nutanun Karukos |
Akshay Gupta | Shantanu Kallianpurkar | Paswat Lupakitaro | Panuwit Thamrongchot |
Anush Chakravarthi | Nathayos Sirigaya | Thaninrat Atiratphuvapat | |
Indonesia | |||
Judge: Dani Clos | |||
Andika Rama | Raira Bhaskara | ||
Datu Yogabrata | Kreshna Augusta Mulyo Adi | ||
Ferson | Pradana Yogatama |
シルバーストンで行われるすべてのイベントは、GTアカデミー開始以来のベテラン審査員、ロブ・バーフの監督のもと行われます。ロブは大会参加者がここへ来るまでに行ってきた入念な調整と準備に深い感銘を受けました。
いよいよレースキャンプの始まりです。挑戦者たちはまず、ベッドフォード競技場でフォーミュラーマシンやケーターハム・レースカー、日産GT-R、JPLM(パーマー・モータースポーツ製の複座スポーツカー)と格闘しましたが、それで課題が終わることはありません。1週間を通じて、度肝を抜くようなさまざまな試練が挑戦者に課せられます。「GT忍者」と名付けられた画期的な軍事訓練式ジムカーナレース、デューンバギートライアル、シルバーストンを舞台にした一騎打ち式タイムレース、ラスト2台がゴールするまでぶつけ合いが続く日産マイクラ(マーチ)のストックカー・レースなどなど、挑戦者たちは息つく暇もありません。
レースキャンプのファイナルイベントは、シルバーストンのインターナショナルサーキットで日産370Z NISMOを用いて行われる緊迫した10ラップのレースと決まりました。予選でポールポジションを奪ったインドネシアのアンディカ・ラマ選手がうまいスタートを切り、レースをリードします。その後に日本の高橋選手が続きますが、すぐさまフィリピンのホセ・ゲラルド・ポリコピオ選手が前に出て2位に。ホセ選手はラマ選手のテールを捕えると4ラップに渡り1秒以下のタイム差でプレッシャーをかけます。3位に付ける高橋選手も2秒以内という僅差。レースが動いたのは5ラップ目。根気よく機会をうかがってきたホセ選手がラマ選手のミスを衝いてトップを奪います。一方高橋選手には不幸が。マシンにトラブルが発生しスローダウン。そのままピットへクルマを運ぶとレースを終えました。その結果、ラマ選手とホセ選手の優勝争いが決定的となります。
ドラマは最終ラップのクラブコーナーで起こりました。ホセ選手がコーナーの立ち上がりで失速したのです。手前のストウコーナーからホセ選手のスリップストリームに入り、行動を起こす準備ができていたラマ選手は、すかさずホセ選手のインを突きます。ところがアウト側のホセ選手はギリギリのところで踏みとどまり全開加速。結果、わずか10分の2秒差で、ホセ選手が首位を守りきったのです。
ロブ・バーフと審査委員たちはしばしの協議の後、フィリピンのホセ・ゲラルド・ポリコピオ選手を、初開催となったGTアカデミー アジア大会の初代チャンピオンに選びました。