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- 「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」2020年シーズンがスタート。
ワールドツアー開幕戦マニュファクチャラーシリーズ速報 - 2020.02.15
ワールドツアー第1戦シドニー、BMWがマニュファクチャラーシリーズ完全優勝
2020年シーズンの「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」がいよいよ開幕。世界からトップドライバーが集うワールドツアーの第1戦が、オーストラリア東部の都市シドニーを舞台にスタートしました。
ワールドツアー第1戦は前年度の王者決定戦「ワールドファイナル」出場成績が選考対象となるため、2019シーズンの熱戦の記憶も生々しく蘇ります。そうした中、現地時間2月15日にまず幕を開けたのが自動車メーカー同士の対決となる「マニュファクチャラーシリーズ」です。
各マニュファクチャラーに3名のドライバーが所属するチーム戦で、今大会には15ヶ国から36名の選手が出場。
この戦いで、見事BMW(コケ・ロペス/スペイン、ニコラス・ルビラー/チリ、ランドール・ヘイウッド/アメリカ)が総合優勝を飾りました。
新たな展開にも注目が集まる
今シーズンのワールドツアーでは、新たに総合成績トップ3に「ワールドツアーポイント」が与えられることとなりました。これは最終戦となるワールドファイナルの基礎点として持ち越すことができるポイント。すなわち、各ツアーで好成績を手にすることが、ワールドファイナルの戦略にも影響を与えることを意味します。
またワールドツアーでは専用のBoP(性能調整)を採用。ドライバーは各マシンの新しい性能調整にいち早く対応することも求められます。
さらに、この第1戦シドニーではイゴール・フラガ(ブラジル)、ミカエル・ヒザル(ドイツ)の有力2選手の欠場というしらせもあり、新たな歴史誕生の予感をも秘めての幕開けとなりました。
予選から速さを見せたBMWとルビラー
マニュファクチャラーシリーズの勝敗は「レース1」およびそのレース1の成績順グリッドからスタートとなる「グランドファイナル」(レース1の2倍ポイント制)の2レースの成績により争われます。この両レースの合計獲得ポイントによって総合成績が決定します。
レース1のグリッドを決める予選から速さを見せたのがBMW。マウントパノラマ モーターレーシングサーキット/Gr.3マシンというセットで行われた予選では、昨年のワールドツアー個人戦での優勝経験も持つエース、ニコラス・ルビラー選手がアタッカーを務め、見事ポールポジションを獲得。これに2位アウディ、3位ポルシェと続きドイツ勢が予選上位グリッドを占める展開に。
全体では1位から12位までの全マニュファクチャラーがわずか1.3秒余りのタイム差にひしめく展開となりました。
レース1
レース1の舞台となるのはテクニカルな高速サーキット、スパ・フランコルシャン。Gr.4マシンによって争われる12周のレースです。ソフト・ミディアム・ハードの3種のレーシングタイヤの使用および各タイヤで最低4周の連続走行が義務づけられるというレギュレーション。そのため各チームともにピットイン戦略はイコールという状況。
いっぽう、高速サーキットゆえスリップストリームをうまく利用することができれば先行車よりハードなコンパウンドでも食らいつくことができ、コンパウンド選択によるマイナスを最小限に抑えられることも見逃せないポイントです。
こうした中、予選トップのBMWチームはルビラー選手がミディアムタイヤでスタート。2位アウディと3位ポルシェがソフトタイヤを選択。レース序盤、後続より硬いコンパウンドを選択したBMWはアウディ、ポルシェに抜かれポジションを落としますが、ソフトタイヤで熾烈なバトルを繰り広げる上位2台に、しぶとくBMWのルビラー選手がついてくという展開に。
2スティント目に入ると、ポルシェ・アウディ・BMWの上位3チームは全てハードタイヤを選択。BMWの第2スティントはランドール・ヘイウッド選手が務めます。
ハードタイヤのトップ3にアグレッシブに挑んだのが、第2スティントでソフトタイヤへとチェンジしたトヨタ。アグレッシブな走りが魅力のライアン・デルイッシュ選手が切れ味鋭いオーバーテイクを見せ、7周目についにトップに立ちます。
2位以下に3秒以上のリードを作ったトヨタのデルイッシュ。しかし、ここから第3スティントにソフトタイヤを残していたBMWチームの戦略が輝き始めます。
ヘイウッド選手からバトンを受けたBMWの最終ドライバー、コケ・ロペス選手は、9周目にはミディアムタイヤのポルシェ、マシュー・シモンズ選手を抜き2位に浮上。もはや前を走るのはハードタイヤを履くトヨタのサイモン・ビショップ選手だけという状況。10周目、BMWロペスはオー・ルージュからケメルストレートで慎重にトヨタのビショップの背後につくと、ヘアピンのリバージュで見事にトヨタをパス。そのままリードを広げながら、BMWをレース1トップでゴールまで導きました。
後続では同じくソフトタイヤを最終スティントに残していたレクサスが大健闘の走り。川上 奏選手は2位に浮上していたポルシェを捉え、レクサスが見事2位フィニッシュ。結果、ポルシェは予選順位の3位をキープしてのゴールとなリました。
最終レース:グランドファイナル
レース1に続き、マニュファクチャラーシリーズの最終レースとなるグランドファイナルが行われたました。レース1の結果により、ここでもBMWはポールポジションスタート。フロントローもう1台をレクサスが占め、セカンドローにポルシェ、アウディと続きます(2位から4位はいずれもミディアムタイアを選択)。
グランドファイナルの舞台となったのは、今大会の開催地オーストラリアを代表する世界的なサーキット マウントパノラマ モーターレーシングサーキット。使用マシンはGr.3、レース周回数は20周となります。
ソフト・ミディアム・ハードの3種のレーシングタイヤの使用と、各タイヤで最低4周の連続走行が義務づけられるというレギュレーションはレース1と変わりありませんが、給油が必須となることに加え、ソフトとミディアムという柔らかいコンパウンドのタイヤをどれだけ有効に使うことができるかがポイントとなってきます。
注目のスタート時のタイヤ選択では、全チーム中唯一BMWのみがソフトタイヤをチョイス。スターティングドライバーはレース1に続きルビラー選手。BMWルビラーが、他ライバルチームに対し序盤でどれだけリードを作れるかに注目が集まります。
レース開始まもない1コーナー、上位グループではBMWがトップをキープ。2位スタートのレクサスがポジションを落とし、ポルシェが2位、アウディが3位へと浮上。
いっぽう下位グループでも混乱が起きます。グランドファイナル9位スタートのメルセデス・ベンツを駆るベルナール・バルベルデ選手がコントロールを失い前方マシンに追突。レース開始早々に4秒のペナルティを受けてしまいました。
4周目に入るとハードタイヤ勢は続々とタイヤ交換のためにピットイン。BMW以外全てミディアムタイヤという状況の中、BMWのルビラー選手は非常に安定したタイムを刻み続け2位以下を引き離していきました。レース前のストラテジーでは、各チームミディアムタイヤとソフトタイヤを8周ずつで配分するのがスタンダードと見込まれていましたが、BMWはソフトタイヤのまま9周目も引っ張る戦略。ルビラー選手が安定した走りでソフトタイヤによるロングランをこなしてみせました。続くヘイウッド選手はミディアムタイヤを選択。
独走状態のBMWに続くポルシェ、レクサス、アウディは、2スティント目はいずれもハードタイヤを選択。この2位集団の後ろに、2スティント目でミディアムタイヤを履くトヨタのサイモン・ビショップ選手がつけます。
10周目、ミディアムタイヤのトヨタは、アウディをかわし3位へ浮上。さらに12周目から山中智瑛選手にドライバーチェンジするとともにソフトタイヤを投入。タイヤに優しい山中選手のドライビングでソフトタイヤ9周アタックの戦略を選択したのです。
ところがこの作戦は思うような展開とはなりません。5周目からソフトタイヤを投入し、ソフトタイヤでのスティント後半に差し掛かっていたヒュンダイ、星野達郎選手のマシンを最終コーナーでパスする際にわずかに接触。これがペナルティの対象となり1秒をロス。トヨタの山中選手は16周目のコンロッドストレートでレクサス、アウディ、アストンマーティンに一気にパスされてしまったのでした。
17周目、BMWは最後のドライバー、コケ・ロペス選手にバトンタッチ。この時点で2位ポルシェとの差は約7.5秒ほど。ハードタイヤでの走行となりましたが、ポルシェに逆転を許すスキを与えずトップのまま逃げ切り。BMWチームは予選、レース1、そしてグランドファイナル全てでトップの成績。文句ナシの完全優勝を果たしました。2位はポルシェ、そして3位はレクサスが続きました。
レース1、グランドファイナルの結果を受け、ワールドツアー第1戦マニュファクチャラーシリーズの総合成績上位3チームも1位BMW、2位ポルシェ、3位レクサスとなり、ワールドツアーポイントもそれぞれ上位から3ポイント、2ポイント、1ポイントを獲得しました。
チーム全員が役割を着実にこなし、見事な戦略と速さとを見せてくれたBMW。昨年とは一味違った展開に、今後も全く目が離せないマニュファクチャラーシリーズとなりそうです。
個人戦「ネイションズカップ」は2月16日14時からライブ配信
団体戦マニュファクチャラーシリーズの熱気そのままに、個人戦「ネイションズカップ」が行われます。レースの模様は2月16日14時から「グランツーリスモLIVE」にて配信いたします。ぜひご期待ください。
ワールドツアー第1戦 in シドニー
マニュファクチャラーシリーズ リザルト
Rank | Manufacturer / Drivers | Race 1 | Grand Final | Total Points |
---|---|---|---|---|
1 | BMW コケ・ロペス / ニコラス・ルビラー / ランドール・ヘイウッド | 12 | 24 | 36 |
2 | ポルシェ アンゲル・イノストローザ / トリスタン・ベイリス / マシュー・シモンズ | 8 | 20 | 28 |
3 | レクサス 川上 奏 / アンドリュー・ブルックス / バティスト・ボボア | 10 | 16 | 26 |
4 | アウディ ハイデン・ハンター / マーティン・グレディ / 加藤 達彦 | 7 | 12 | 19 |
5 | アストンマーティン 滝田 歩夢 / ジェイ・ウォン / ファビアン・ポルティラ | 4 | 14 | 18 |
6 | トヨタ 山中 智瑛 / ライアン・デルイッシュ / サイモン・ビショップ | 6 | 10 | 16 |
7 | シボレー 水野 航希 / マルコ・メンドーザ / マシュー・マキューエン | 1 | 8 | 9 |
8 | フォード アダム・ウィルク / アーメン・アルカハム / アダム・タペイ | 3 | 6 | 9 |
9 | ジャガー ケニー・コノモス / ヴィニシウス・ネト / フローリアン・パガンテ | 5 | 4 | 9 |
10 | アルファロメオ ダニエル・ソリス / アロンソ・レガラード / 吉田 匠吾 | 0 | 2 | 2 |
11 | メルセデス・ベンツ コディー・ラトコフスキ / ベルナール・バルベルデ / アンソニー・フェリックス | 2 | 0 | 2 |
12 | ヒュンダイ アグスティン・カハル / 星野 達郎 / コナー・ヘリー | 0 | 0 | 0 |