リストに戻る

MANUFACTURER SERIES
メルセデス・ベンツが「ワールドツアー レッドブル・ハンガー7・マニュファクチャラーシリーズ」を勝利 。前戦に続く2連続優勝を達成!
ワールドツアー第4戦・レッドブル・ハンガー7
2019.09.17

ザルツブルグ、オーストリア (2019年9月13日) – FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2019のライブイベント「ワールドツアー第4戦・レッドブル・ハンガー7」が、飛行機やレーシングカーで飾られたレッドブル・ハンガー7で開幕。初日に行われるマニュファクチャラーシリーズのレースでは、12のチームを代表する36名のドライバーが11月23日、24日にモナコで開催される「ワールドファイナル」への出場権をかけて戦いました。レースではメルセデス・ベンツが勝利を収め、第3戦に続いて2度目となる優勝を手にしました。

2019 ワールドツアー | レッドブル・ハンガー7 | マニュファクチャラーシリーズ
「グランツーリスモ LIVE」で視聴する

今回のマニュファクチャラーシリーズでは、新たなレースフォーマットを採用。レース1とグランドファイナルという2本立てのレースとなり、ファイナルレースだけダブルポイントのポイント制となります。さらに、各レースで全ドライバーの出走が義務づけられるほか、3つのタイヤコンパウンド(ソフト・ミディアム・ハード)を最低でも1回使う必要があります。ウェットコンディションのレースのみ、ウェットタイヤが使用されます。

レース1

スターティンググリッドは予選ラウンドとトップ6予選で決まり、マーティン・グレディ選手(UK)のアウディR8LMSがポールポジション、ポルシェ911 RSRと菅原達也選手(日本)が2番手を獲得。ルイス・ベントレー選手(UK)がプジョーRCZ Gr.3で3番グリッドを確保しました。コースはヘビーウェットコンディションのレッドブル・リンク。レースは、ここを17周で争われます。

全12台がローリングスタート後、第1コーナーを無事抜け、大きなハプニングもなくレースが開始しました。最初から最後まで完全にウェットコンディションなので、タイヤ選択は戦略に影響しません。最初の数ラップは順位が変わらず、ほとんどのバトルはFR車で低μの路面に苦戦している中段グループで起きていました。

5周目、4位のポジションをアダム・ウィルク選手(オーストラリア)の駆るフォードGTに許していたメルセデス・ベンツAMG GT3ですが、ターン4でトム・ラテル選手(フランス)が順位を取り戻します。次のラップ、ポルシェがピットに入り、タイヤ交換とブラジルのダニエル・カルモ選手へドライバー交代。911は4位でコースに復帰し、トップとの差は僅か4秒。

レース前半、アウディR8LMSがプジョーRCZとメルセデス・ベンツAMG GT3を抑え、アドバンテージをキープ。メルセデス・ベンツは8ラップ目に新品のミシュランに履き替え、エースドライバー、コディー・ニコラ・ラトコフスキー選手(オーストラリア)がハンドルを握ります。これに反応したのか、次のラップ、レースリーダーのアウディもドライバーとタイヤ交換に入り、ニュージーランドのハイデン・ハンター選手にバトンタッチ。素早いピットストップ後、アウディは2位でレースに復帰。まだピットに入っていないプジョーのコンマ5秒遅れでした。11周目、プジョーが最初のピットストップに入り、日本の岡本拓也選手が引き継ぎます。直後、ポルシェも2度目のピットストップを行い、アンカーのトリスタン・ベイレス選手(USA)がフィニッシュまでドライブ。アウディも同じ戦略で次のラップにピットイン。同じくUSAドライバーのザック・ペティニッチ選手が最終ドライバーを務めます。

レースいちばんの見どころは13周目。メルセデス・ベンツのラトコフスキー選手が2位のプジョーをターン5と6でうまく誘導し、ターン7でオーバーテイクに成功。アウディも負けずと追い上げます。15周目にはトップ4が争っているように見えたものの、メルセデス・ベンツとプジョーはもう一度ピットストップをする必要があったので、実際はチームアウディとチームポルシェの一騎打ちでした。

ピットストップで前方がクリアとなったコースでアウディR8LMSが先にゴールを迎え、12ポイントを獲得。そのすぐ後ろがポルシェ911RSRで10ポイント。メルセデス・ベンツは3位で8ポイントを獲得しました。

Rank Manufacturer / Drivers Time
1 アウディ Hayden Hunter / Martin Grady / Zach Pettinicchi 30:20.086
2 ポルシェ Tristan Bayless / Daniel Carmo / 菅原 達也 +00.415
3 メルセデス・ベンツ Anthony Felix / Tom Lartilleux / Cody Nikola Latkovski +02.743
4 プジョー Lewis Bentley / Richard Castro / 岡本 拓也 +05.648
5 フォード Armen Aghakhan / Marco Grasso / Adam Wilk +07.062
6 アストンマーティン Nick McMillen / Fabian Portilla / 滝田 歩夢 +27.651
7 ジャガー Vinicius Neto / Florent Pagandet / Kenny Conomos +28.833
8 トヨタ 山中 智瑛 / Simon Bishop / Manuel Rodríguez +31.942
9 レクサス Andrew Brooks / Adriano Carrazza / Baptiste Beauvois +32.388
10 シボレー Nicolas Schwendimann / Marco Mendoza / Michael Avansino +32.574
11 BMW Nicolás Rubilar / Coque López / 井芹 颯真 +33.920
12 ヒュンダイ Steven Cotton / 星野 達郎 / Agustín Cajal +45.768

グランドファイナル

直前のレース結果でグランドファイナルのスターティンググリッドが決まるため、アウディR8LMSがポールポジションからスタート。レースは伝説的なスパ・フランコシャンの17周レースで、晴天のドライコンディション。このラウンドのポイントは倍なので、この時点ではまだまだチャンピオンが確定しません。

レースはスタート直後から大混乱。ラテル選手のメルセデス・ベンツAMG GT3はソフトコンパウンドタイヤを生かし、第1コーナーでミディアムタイヤのポルシェのベイレス選手を抜き去ります。数秒後ルイス・ベントレー選手がオールージュ(ターン2、3、4)でコントロールを失い、ノーズから壁に激突。最下位まで落ちてしまいます。ラテル選手はケメルストレートでアウディR8LMSからトップの座を奪い、ポルシェのベイレス選手もそれに追従します。1周目の終わりでのトップ4順位はメルセデス・ベンツ、ポルシェ、アウディ、及びアストンマーティン。

メルセデス・ベンツがグループを徐々に引き離し、6周目までに2位と6秒以上の差をつけている最中、3位をめぐり激しい戦いが展開していました。アウディのペティニッチ選手がアストンマーティン・バンテージのファビアン・ポルティラ選手(チリ)、フォードGTのウィルク選手、及びミハエル・アヴァンシーノ選手のシボレー・コルベットを抑えるため奮起していましたが、6周目の終わりにピットインしたアウディはポジションを落とし、ソフトタイヤを装着したハンター選手がコースに戻ります。この時点でのアウディのポジションは6位。

レース中盤、雲行きが怪しくなります。レースリーダーのメルセデス・ベンツが最初のピットストップに入り、燃料を満タンにし、ソフトより1周あたり約1秒遅いハードコンパウンドのタイヤに変更。アンソニー・フェリックス選手(USA) がハンドルを握ります。このピットストップにより、ポルシェがアウディとアストンマーティンに19秒の差をつけて首位となり、メルセデス・ベンツがその1.5秒後方となりました。その間、11位でスタートを切ったチームBMWはコッキー・ロペス選手の手で5位まで浮上しています。

9周目、ポルシェが最初のピットストップに入り、燃料補給とタイヤをミディアムからハードコンパウンドに変更します。メルセデス・ベンツもピットに入り、ややタイムに分があるミディアムタイヤを装着。ラトコフスキー選手がハンドルを握り、あとは止まることなく最後まで走りきるという展開に。ポルシェはトップでコースに復帰しますが、次の周にピットに入り、各タイヤコンパウンドの使用義務を果たします。メルセデス・ベンツと同じく、この次はゴールラインまでノンストップ。菅原選手が911のハンドルを握ります。同時にアストンマーティンがレーストップに躍り出ますが、各チームがピットストップを行った暁にはメルセデス・ベンツがトップポジションとなりました。

14周目、8位からレースをスタートしたトヨタスープラ・レーシングコンセプトの山中智瑛選手がジャガーFタイプGr.3のケニー・コノモス選手(オーストラリア)と激しい4位争いを展開。コース後半をほとんどサイドバイサイドで走り抜けたのち、ケメルストレートの終わりでトヨタが前に出ることに成功。山中選手はポルシェの菅原選手にロックオン。1周後にはオーバーテイクに成功し、2位の位置につきます。

レース結果はチーム・メルセデス・ベンツが8秒もの大差をつけてチェッカーフラッグを受け、合計32ポイントで全体優勝を収めました。サプライズだったのはチームトヨタの2位フィニッシュ。ここで稼いだポイントのおかげで日本のメーカーは3位となります(23ポイント)。3位フィニッシュによりポルシェは全体のランキングで2位(26ポイント)。しかしこの日のビッグニュースは、同じ月に開催された「ワールドツアー第3戦・ニューヨーク」からの連勝となるメルセデス・ベンツの勝利でした。

「私たちはそれぞれ自分のパートをやりこなしました。それ以上言えることはありません。セオリー通りに、好機を見逃さず、すべてのチャンスもリスクも承知で実行し、最後に素晴らしい結果を得ることができました。」とチーム・メルセデス・ベンツのラトコフスキー選手。「僕はもっとチームとしてレースすることができる、新しいフォーマットは面白いと思います。ですが個人レースがあることも大事だとも思っています」。

ワールドツアー第4戦・レッドブル・ハンガー7
マニュファクチャラーシリーズ リザルト

Rank Manufacturer / Drivers Race 1 Grand Final Total Points
1 メルセデス・ベンツ Anthony Felix / Tom Lartilleux / Cody Nikola Latkovski 8 24 32
2 ポルシェ Tristan Bayless / Daniel Carmo / 菅原 達也 10 16 26
3 トヨタ 山中 智瑛 / Simon Bishop / Manuel Rodríguez 3 20 23
4 ジャガー Vinicius Neto / Florent Pagandet / Kenny Conomos 4 14 18
5 アストンマーティン Nick McMillen / Fabian Portilla / 滝田 歩夢 5 12 17
6 フォード Armen Aghakhan / Marco Grasso / Adam Wilk 6 10 16
7 アウディ Hayden Hunter / Martin Grady / Zach Pettinicchi 12 4 16
8 BMW Nicolás Rubilar / Coque López / 井芹 颯真 0 8 8
9 レクサス Andrew Brooks / Adriano Carrazza / Baptiste Beauvois 2 6 8
10 プジョー Lewis Bentley / Richard Castro / 岡本 拓也 7 0 7
11 シボレー Nicolas Schwendimann / Marco Mendoza / Michael Avansino 1 2 3
12 ヒュンダイ Steven Cotton / 星野 達郎 / Agustín Cajal 0 0 0

まだワールドファイナルへの出場権を獲得していない参加者にとって、2019年カレンダーにはあとひとつ、10月の「ワールドツアー第5戦・東京モーターショー」しかないので、すでに時間が限られています。「ワールドツアー第4戦・レッドブル・ハンガー7」では明日、自国を代表する24名のトップドライバーが世界中から集まり、念願のネイションズカップ・ワールドファイナルの出場権をかけて戦います。

リストに戻る