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イベントリポート

「GRAN TURISMO AWARDS SEMA」は'70年式マスタングに

「クール&ハイパフォーマンス」という“グランツーリスモ”のフィロソフィーに通じるカスタム&チューニングカーを称えるアワード「GRAN TURISMO AWARDS SEMA」の7度目の最終選考会がアメリカのSEMAショーで開かれ、“グランツーリスモ”シリーズプロデューサー山内一典は、1970年式フォード・マスタング"トランスキャマー"を「BEST in Show」に選びました。

この「Best in Show」は最終選考会に先立って決定された5つの部門賞の中から選ばれたもので、今年は以下の5台が部門賞に輝きました(カッコ内はオーナー名)。

・Best Hot Rod:1970 Ford Mustang Trans-Cammer (Phil Koenan)
・Best Truck/SUV:Ford F250 Unlimited 2 Class short-course race truck (Scott Bailey)
・Best Japanese Import:2009 Unlimited FWD Time Attack Scion tC (Chris Rado)
・Best European Import:Custom 2009 Lamborghini Gallardo LP560-4 (KC Howeth and Andy Williamson)
・Best Domestic:Moment Carbon Camaro (Nicholas Ashby)

近年の受賞車を振り返ってみると、一昨年のHPA製Audi TTは「パフォーマンス」、昨年のInfiniti G37は「チームワーク」がキーワードでした。山内一典は今年の受賞車のキーワードを「ストーリー(物語性)」だと述べています。

この受賞車がこの世に生まれたきっかけは、オーナーのフィル氏がカリフォルニアのとあるフォードの部品倉庫で、1機のエンジンを見つけたことに始まります。そのエンジンとは1965年製「427ci(6672cc) Ford V8 SOHC "SOCC(ソック)"」。'60年代のNASCARで、フォードがクライスラー勢の誇るHEMI(半球型燃焼室エンジン)軍団を迎え撃つために生み出した珠玉のレーシングエンジンですが、NASCARのレギュレーション変更によって転用・散逸を余儀なくされ、もはやこの世に新品は現存しないといわれてきました。
その名機と周辺部品を完全なストックコンディションで見つけたフィル氏は、情熱と誠意で店主を口説き落とします。そして「このエンジンを積むもっともふさわしいクルマとは何か」と悩み抜き、多くの協力者とともに4年の歳月をかけてこのクルマを生み出したのです。

そのため受賞車は外観こそ'70年式マスタングですが、中身は最新のテクノロジーをまとった世界に1台だけのスーパーカー。軽量なパイプフレームの骨格は、なんとサイドシルにエキゾーストパイプを内包するというこだわりようで、美しい外皮はFRP製。ドライブトレインやブレーキ、サスペンションにはレーシングスペックの一級品が用いられています。
このクルマの存在理由ともいえるエンジン"SOCC"は12:1の圧縮比から657HPを発生。さらに加速時の荷重移動を考慮して前後重量配分を52:48とすることで、圧倒的なハンドリングまでを実現しています。まさにアメリカ人エンスージャストの執念が生んだ一篇の「物語」のような1台だといえるでしょう。

このほか最終選考会の会場では、昨年、一昨年のAWARDS受賞車両が収録された『グランツーリスモ5』特別バージョンが公開され、それぞれのオーナー自身が感激をなぞるようにステアリングを握る場面も。さらに式典の後にはカリフォルニア出身のハードコアバンド、オフスプリングが登場、Z-TripのDJも加わって来場者は深夜まで興奮に満ちた時間を過ごしました。

・ニュース:SEMAショーで「GRAN TURISMO AWARDS SEMA」を授賞