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イベントリポート

ベスト・オブ・ショーも同時受賞。2017年のグランツーリスモ・トロフィーはメルセデス・ベンツ Sに

8月20日(現地時間)、アメリカ・ペブルビーチで第67回ペブルビーチ・コンクール・デレガンスが開催され、「グランツーリスモ」シリーズ・プロデューサー山内一典は、メルセデス・ベンツ S バーカー・ツアラー(1929年製)を「グランツーリスモ・トロフィー」受賞車に決定しました。このクルマは今年の「ベスト・オブ・ショー」にも選ばれ、栄えあるダブル受賞を祝うこととなりました。

受賞車のメルセデス・ベンツ Sは、メルセデス・ベンツが初めて世に送り出したスポーツモデルです。設計を手がけたのは、オーストリアのアウストロ・ダイムラーから移籍してダイムラー・ベンツの技術部長に就任したフェルディナント・ポルシェ博士。デビューした1927年にはニュルブルクリンクのレースに出場し、ルドルフ・カラッツィオラのドライブで優勝を果たしました。後に続くメルセデスの有名なスポーツモデル、SS / SSK / SSKL の原点となった1台といえるでしょう。
受賞車は、英国レーシングドライバークラブの創設者の一人であるアール・ホウ卿が発注した個体です。ボディを手がけたのはロンドンのコーチビルダー「バーカー」で、ボディサイドに塗られたピーコック・ブルーは、当時のホウ卿のレース車両すべてに塗られていたオリジナルカラー。1929年製という戦前モデルの受賞は、今年で10年目を迎えるグランツーリスモ・トロフィーの歴史において初めてのことです。
今回、惜しくも受賞を逃したグランツーリスモ・トロフィーの他のノミネート車をご紹介しましょう。

・ベントレー 4 2/1 スーパーチャージャー(1930年製)

20世紀初頭、ル・マン24時間レースなどで華々しい活躍を演じたベントレー。このモデルは1927年に登場したスーパーチャージャー付きモデルで、ル・マン出場のホモロゲーションを得るため作られた50台のうちの1台です。ヴァンデン・プラ製のボディを架装した魅力あふれる1台。

・アバルト 1000 レコルト(1960年製)

アバルトが速度記録達成のために作った実験車。ピニンファリーナが手がけたボディにフィアット1000用エンジンを搭載し、トリノ工科大学の風洞実験場を用いて開発されました。1960年、モンツァのアウトドローモで72時間平均速度186.687km/hなど、8つの世界記録を打ち立てています。

・フェラーリ 166MM/195S(1950年製)

レーシングカーの開発を主業としていたフェラーリが送り出した、事実上初の量産ロードカー。ジョアッキーノ・コロンボ設計のV12エンジンとカロッツェリア「トゥーリング」の軽量ボディがみごとにマッチした1台です。1948年から翌年にかけて、ミッレ・ミリアやタルガフローリオで数々の勝利を獲得しました。

・タルボ・ラーゴ T-26GS(1948年製)

タルボ・ラーゴはフランスに存在した高級車ブランド。このT-26GSは190馬力を誇る直列6気筒エンジンを積んだスポーツカーです。シャシーナンバー110105というこの個体は1949年から5年連続してル・マンにエントリー、その他多くのラリーなどにも参戦した歴戦の1台。

・ジャガー XK140 ザガート・クーペ(1957年製)

クラシカルさと優美さが魅力のXK140のボディを、あえてザガート製のワンオフ仕様に換装した貴重な1台。ミラノのザガートが手がけたボディはオリジナルから一転、イタリアンモダンを感じさせる優雅なたたずまいとなっています。
舞台となったペブルビーチ・ゴルフコースには、この他、さまざまな自動車メーカーが最新のプロトタイプなどを展示し、真夏のクルマの祭典をいっそう盛り上げていました。

(車両解説協力:児玉英雄)