GTアカデミー・ウィナーのヤン・マーデンボロー、ヨーロッパF3に参戦
2011年のGTアカデミー・ヨーロッパチャンピオンであり、歴代チャンピオン中最年少でもあるヤン・マーデンボローが、2013年、ヨーロッパF3に参戦することが決定しました。
2012年のドバイ24時間レースで総合3位に輝き、この年のブリティッシュGTチャンピオンシップで数々の表彰台に立ったヤンは、ヨーロッパF3の有力チーム「カーリン」に所属し2013年シーズンを戦います。
日産のグローバルモータースポーツディレクター、ダレン・コックスは、この参戦についてこう説明しています。
「ヤンをF3のシートに載せることは、ダウンフォースについて”飛び級”で学んでもらうために有効な道だと考えています。GTアカデミーの他の勝者と同じく、ヤンはいつかル・マンにLMP2カーで参戦する日が来ます。日産GT-Rニスモ GT3で1シーズンを戦い終えた今、F3でのレースは彼にダウンフォースの効いたマシンを走らせるノウハウを教え、LMP2を操るトレーニングになるでしょう。プロトタイプカーを走らせている最近のトップドライバー達を見てください、マクニッシュ、ブルツ、デイビッドソン、ロッテラー、彼らは全員シングルシーターで技術を身につけてきたのです。
ヤンはGTレースを1シーズン戦っただけですから、子供の頃からカートを走らせてきたようなドライバーたちとF3で対等に戦えるとは思っていません。彼の参戦はあくまでトレーニングであり、もしよい結果が出たとしてもそれはボーナスです。カーリンを選んだのは彼らがF3で最良のチームと判断したためで、ヤンはそのトップチームから多くのことを学ぶでしょう」
ダレン・コックスとの一問一答
Q:F3参戦の後、ヤンの進む道は?
A:私たちのドライバー開発プログラムは、ドライバーが参戦カテゴリーに縛られないという点で画期的だといえます。F3はヤンのプロトタイプカーレース参戦に向けた準備です。彼はこれからも私たちのGTカーでレースを行いますが、シングルシーターのレースは、多くのスーパーGTドライバーやル・マン・プロトタイプのプロフェッショナルが技術を学んだ場であることを忘れてはなりません。
Q:ヤンの参戦は2013年限りですか?
A:ヤンの2013年の全スケジュールは追って発表されます。GTアカデミー卒業生は今年、GT-R NISMO GT3をドライブすることが一つの焦点となるでしょう。それに先駆けてGT-R NISMOのロードカーとの連携にも集中したいと考えています。
Q:ヤンは今年ル・マンを走りますか?
A:それも全スケジュールの発表を待ちましょう。ル・マンではビッグニュースを発表する予定もあります。私たちの目標はよりしっかりとル・マンをサポートすることです。2012年の成功を踏まえて、ル・マンを楽しみにしているファンのために一貫したメッセージを発し続ける必要があります。
Q:ヤンはF3のトップ争いに加わると期待していますか。
A:まったく思っていません。彼は何年もシングルシーターで経験を積んできたドライバー達と戦うわけですから、飛び入りでいきなり優勝することを期待してはいけません。それに、これはヤンにとってたった2年目のレースシーズンです。彼は学ぶためにこのシリーズに参戦するのです。とはいって彼自身はすごく競争心の強い性格なので、結果が出始めるまで満足しないとは思います。これは私たちが彼を気に入っている理由のひとつですけどね。
Q:ヤンはGTアカデミー卒業生の中で「一番出来のよい」ドライバーなのでしょうか?
A:GTアカデミーの勝者はみんなずば抜けた技術の持ち主ですし、誰もが違うステップにいる状態なので、誰が一番と決めるのはすごく難しいです。確かに去年ヤンは人を驚かせるような力を発揮し、特にブリティッシュGTでの功績でメディアやモータースポーツ業界の注目を集めました。一番若い卒業生であること、私たちの育成プログラムが熟成してきたタイミングで入ってきたこと、という2つのアドバンテージがあることは確かです。
Q:ヤンはなぜ日産エンジンを使っているスリーボンドwith Tスポーツではなくカーリンに加入したのですか?
A:ヤンを一番良いチームに教育してもらいたかった。それがカーリンだと私たちは信じています。スリーボンドwith Tスポーツの日産エンジンは正式なNISMOのプロジェクトではありません。
Q:日産のGTアカデミー・ウィナーでありながら、フォルクスワーゲン製エンジンのマシンというのは変ではないですか?
A:私たちにとっては全然変ではありません。私たちの決断はヤンの育成に最適なパッケージを選ぶことであり、エンジンのチョイスだけではないのです。F3以外では、ヤンはもちろん日産のレースカーや日産エンジンを積んだプロトタイプで走ります。日本のNDDP(NISSAN DRIVER DEVELOPMENT PROGRAM)にも、日産エンジン以外のF3マシンに何年も乗ってきたドライバーがいますよ。
Q:ルーカス・オルドネスやジョーダン・トレッソンにはさせずに、なぜヤンをF3に入れたのですか?
A:私たちは常に自分たちのドライバー育成プログラムを進化させ続けていて、ヤンの成長を加速させるにはベストだと判断しました。たとえば私たちが今年の夏、彼をLMP2マシンに乗せようと決断したとします。彼はルーカスやジョーダンのようにLMP2で経験を積んではいませんが、彼は見事に準備を整えると思います。
Q:ダウンフォースの効くレースカーを学ぶのに、F3は割高な方法ではありませんか?
A:割高ではありません。耐久レースの本質として、クルマはチームメートとシェアするものです。それにル・マンプロトタイプの複雑な性質が加わると、走行距離あたりのコスト面ではF3のほうがLMP2より効率がいいのです。たとえばカーリンは4台テストカーを用意し、チームのコストを4分しています。LMP2チームは通常1台のマシンでテストを行うので、その1台でコストをまかなうことになります。ヨーロッパでの日産モータスポーツプログラムは、非常に優れた費用対効果をいつも実現してきているのです。
Q:最近ヤンがニュージーランドのトヨタレーシングシリーズに参戦したというのは本当ですか?
A:本当ですよ。ヤンはこのシリーズからヨーロッパF3でどんなことが期待できるかを学び、素晴らしい冬期トレーニングプログラムとなりました。彼はシングルシーターの良い面・悪い面を経験し、一回り成長して帰ってきました。
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